バーチャルリアリティの語源と可能性

投稿者: remanbe

remanbe(リマンベ)は、デジタル時代の地方創生のモデルをつくりあげる、北海道長万部(おしゃまんべ)町のローカルメディアです。


こんにちは、こまんべ(@komanbe)です。

近年、様々な記事で注目されてる、バーチャルリアリティ(以下、VRと記載)。頭につけるヘッドマウントディスプレイOculusLiftやPSVRなどが話題に上がっています。
最近では、約650億円を調達したVR/ARスタートアップMagic Leapが注目されていますね。

【極秘スタートアップMagic Leapとはどんな会社なのか?】

極秘スタートアップMagic Leapとはどんな会社なのか?

上記の記事は、バーチャルリアリティの企業です。がしかし、記事を読んでも、事業についての詳しい内容はピンときませんね。
近頃だと『これからの時代はVR!』 『VRは未来のインターネットの姿だ!』『今年はVR元年!』などなど、盛り上がっていますが、結局のところVRという言葉の意味は何を指すのでしょうか。

映画、攻殻機動隊やマトリックスを見た方には何となくこんな感じなんじゃないか?ぐらいのイメージはできますよね。

でも今更VRって具体的になんなのかを聞くのも恥ずかしい…そういう方のためにVRの語源について説明していきます。

 

1.VR(ヴァーチャルリアリティ)の語源は?

VR(バーチャル・リアリティ)の語源
VRは誰でもわかるとおり、リアリティ(現実)とバーチャル(仮想)というそれぞれ正反対の言葉が結合している奇妙な単語です。元々の語源は、1989年にアイフォン(Appleの商品ではないです。)と名付られたHMDとデータグローブを発売して,VRブームを巻き起こしたと言われているVPL社の創業者J.Laniarたちが使ったのが始まりです。

バーチャルリアリティの意味は、
『実際には存在しないが、本質において存在していると同等な事実や実際の出来事』ということです。
ようするに脳が、そこなにかモノや環境を感じれば、その感覚こそがバーチャルリアリティということです。映画のマトリックスやアバター、インセプションなどの世界観がイメージしやすいかもしれないですね。VRのリアリティの意味は現実ではなく、現実感。まさに感覚のことを指しています。

しかし、日本ではVR(ヴァーチャルリアリティ)という言葉が誤訳されています。

IBMのエンジニアは、virtualを仮想と訳してしまったことを今も後悔していると聞く。

ある単語の日本語訳は通常、とてつもないパワーを発揮するが、このように誤訳されて入ってくると、そのパワーをあらぬ方向に発揮されてしまう。

・・・という話を、大学のVRの授業ではとにかく最初の最初にされるのだ。今もそういう教え方をしてるかは知らないけど。

「とにかくこの授業を受けたからにはVRを二度と仮想現実感などと呼んではいけない」と言われたので、従順な受講生であった僕は、おとなしく先生の指導に従うことにする。

引用 : http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20160223/1456181293

そもそも、バーチャル(virtual image)とは虚像という意味で通ってしまっているのも原因の一つらしいです。

この日本で定着している『虚像(virtual image)』は本来英語圏では違う意味を指しています。本来の欧米の指している意味は、前述の通り『実際には存在しないが、本質において存在していると同等な事実や実際の出来事』という意味です。

辞書でみてみるとバーチャル(虚像)とは、
1.平面鏡や凹レンズなどで発散した光を逆向きにたどって見える物の像。
2.真実を伝えてはいない人物像など。
という意味を指します。

ようするに、普通のリアルイメージとは違い、なにかそこに物質があるわけでもなく光や陰があるわけではないが、しかし効果としてはリアルイメージと同じ意味を指している。ようするに虚(幻とか勘違いとか)ではないのですね。

※ちなみに前述のとおり、VRのリアリティは現実と訳すことは誤訳です。現実感と訳すのが正しいです。

詳しく知りたい方は、『バーチャルリアリティ学』という本が参考になります。

2. VRの可能性

前項のとおり、VRは現実と同じ感覚のことを指しています。なので、VRかどうかは感じた人にしかわからないという伝わりにくい難点があります。

そんな中、日本のVR市場では、もっともニーズが高いエンタメ市場に注目しています。攻殻機動隊などのエンタメ情報を楽しんでだりと、バーチャルリアリティを使っている人を見ると、なんだか楽しそうですよね?しかし、ヘッドマウントディスプレイはもちろんVRの言葉すら知らない人にとっては、楽しさが伝わりにくい難点があります。

この写真をみてもらってもわかると思いますが、かぶっている姿があまりかっこ良く見えないし、髪が乱れるので若い人からは人気が出ない可能性が大きいです。グーグルグラスのようなメガネ型デバイスがでたりと、技術が進化して、スタイリッシュな見た目のデバイスが開発されて、かっこよさについても解決されることに期待です。VR脱オタ。

VRコンテンツが少ない問題もありますが、簡単にVRコンテンツを作れるunityのようなオープンエディタが増えてきているので、VR開発工数は今後も下がっていきます。VRコンテンツは今のメディアコンテンツやAppleStoreのアプリのように増えていくでしょう。コンテンツが増えていくと、エンターテイメントコンテンツのリッチ化が進んでいき、大手の参入が増えていきます。数年後、5Gが商用化されるあたりで盛り上がるのではないでしょうか。

VRが今解決できる課題はなにか?

VRが必要とされる未来ある領域とは、どこにあるんでしょうか。

参考記事1.「VRでアルツハイマー病を予測する」研究結果が発表されるhttp://wired.jp/2015/10/26/alzheimers-virtual-reality/
参考記事2.「まるでマトリックス?脳刺激を使って、瞬間学習する方法が開発された」http://www.huffingtonpost.jp/techcrunch-japan/neurostimulation_b_9363368.html

VRの本来の意味である『現実感』。人間の脳に対するアプローチは、VRができる強みです。VRは、現実を感じる感覚により、様々な脳への実証実験を行うことができるのです。VRの活用した脳への神経活動に対するアプローチは可能性があり、研究も行われています。これは視覚なVRだけではなく、力触覚を含めた五感に対する研究です。今後は、医療分野へのアプローチや、リハビリ、学習や教育にも使えると言われています。

VRをよりよく知るためには、脳が“現実を感じる感覚”と判断する要因は何なのかを知ることが必要です。VR技術の進化には、脳の解明にも関係してます。また、日本では少子高齢化も進んでいく先進国なので、アルツハイマーなどの脳への病へのアプローチへのニーズは高くなるのではないでしょうか。